今まで「当たり前」とされてきたことが、もはや当たり前ではなくなる時代を、私たちは生きなければなりません。社会も、国際情勢も、政治のあり方さえも急速に変化する中で、私たちが何を考え、いかに行動し、どのように未来を切り拓いていくのかが、いままさに問われています。限られた政治的資源である「時間」をどう活かし、政治を一歩でも前に進めるか――それこそが、政治に携わる者の責務であります。
これまでの日本は、長らく「政治的安定」を当然の前提としてきました。ゆえに、予算や法案は計画的に審議・成立し、国家運営は一定の秩序と予見可能性のもとで進んできました。しかしいま、自民・公明両党の連立解消によって、その安定の構造は大きく揺らいでいます。自民党を中心とする新たな枠組みを築くのか、野党が連携して政権を担うのか、あるいは多党による流動的な連立となるのか――いずれの形にせよ、政治的安定こそが国家の発展と国民生活の安心の礎であることは、世界共通の真理です。
国会の混乱は、必ずや地方政治や地域経済にも波及します。インフラ整備や公共事業、地域振興プロジェクトの先行きにも不透明感が広がります。だからこそ今、自民党は立党の原点に立ち返り、「保守の国民政党」としての使命と責任を改めて自覚し、この難局に真正面から挑まなければなりません。
そのためには、あらゆる政党や勢力との対話を恐れず、連立の可能性を広く追求すべきです。虚心坦懐に語り合い、理念と目標を共有し、未来の日本像をともに描く努力を重ねることが肝要です。連立の本質とは、単なる議席の数合わせではなく、「国家ビジョンの共有」にあります。それが完全に一致しなくとも、限られた時間の中で一致点を見出し、妥協点を探り、国民にとって最も優先すべき課題の解決に全力を注がねばなりません。
憲法に則り、新たな内閣を組成し、国会での建設的な合意形成を通じて、日本の安全と国民生活を守り抜く――それこそが、比較第一党としての誇りであり、矜持です。どれほど困難な時代であっても、誠実な対話と確かな信念をもって政治の責任を果たすこと。それこそが、次の時代を切り拓く第一歩であり、我々が未来の世代に残すべき最大の遺産であります。
高市新総裁には、正式な手続きを経て選ばれた自民党総裁としての誇りを胸に、この歴史的な難局を果敢に乗り越えていただきたいと思います。新しい政治の枠組みが、対立ではなく協調、停滞ではなく前進の力となるように、私たちも力を尽くします。まさに、新しい時代の「当たり前」が、より開かれた、活力ある政治を実現し、国民の期待に応える原動力となることを信じています。それこそが、我々国会議員一人ひとりに課された責任であり、未来への使命であります。 #平井卓也