昨年9月に自民党広報本部長に就任してから、自民党本部で使えるAIの開発に着手し、今年から広報本部で実際に活用しながら、その有用性とリスクを検証してきました。AIの進歩には目を見張るものがあり、生産性や利便性の向上は明らかです。しかし、AIに過度に依存することには、リスクも伴います。
まず、AIが多くのタスクを自動化することで、人間の能力が低下する懸念があります。計算や情報検索、意思決定などをAIに任せることで、我々自身のスキルや知識を磨く機会が減少し、問題解決能力や批判的思考力が鈍化する恐れがあるのです。
また、テクノロジーへの過度な依存は、社会全体にとってもリスクです。AIの誤動作やバイアス、サイバー攻撃などへの適切な対応策が求められます。特に、AIの軍事利用や犯罪への悪用は看過できない問題です。自律型兵器や監視システムへのAI応用は倫理的な課題を孕んでおり、AIを利用した詐欺や世論操作なども増加しつつあります。加えて、AIの導入によって一部の職業が消滅し、新たな社会的不平等が生じる可能性も懸念されます。AIによる自動化が進めば、多くの人々が職を失うかもしれません。したがって、AIの恩恵を享受しつつ、そのリスクを認識し、バランスの取れた対応が求められます。AIの進化に伴い、人間の能力を維持・向上させるための教育や訓練を充実させ、テクノロジーの安全性と透明性を確保するための規制やガイドラインの整備が急務です。国内法のみならず、AIの軍事利用や犯罪への悪用を防ぐ国際的な枠組みづくりも必要不可欠です。
社会全体でAIを適切に活用し、その恩恵を皆で分かち合うための努力を怠ってはなりません。同時に、AIがもたらす負の影響を最小限に抑え、誰もが恩恵を受けられる包摂的な社会の実現を目指さなければなりません。自民党デジタル社会推進本部では、すでに具体的な法制化の提言を行っていますが、日本が国際的な議論をリードできるよう、これからも全力で取り組んでまいります。