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9、総合的安全保障と危機管理を強化する
・日米安保に関する国内環境の整備と安全保障対話の推進
戦後日本は米国との安全保障関係を基軸に、経済の繁栄と国民生活の向上を図ってきた。歴史的に日本と米国は戦勝国と敗戦国の関係から出発し、冷戦による変遷を経る中で安全保障関係を深化させてきた。しかし、日本の側には依然として対等な国家関係としての安全保障関係の維持といった意識が薄く、その「非対称性」が今日に至るまで尾を引いている。
二十一世紀、アジア・太平洋地域において、日本が世界の平和と安全のため積極的に責任を果たすためには、こうした「非対称性」のもつ問題点をさまざまな視点から再検討し、法制度の整備を含め、二十一世紀にふさわしい信頼される国家として新たな出発をしなければならない。
■ 集団的自衛権と憲法についての議論の深化
日本は国家固有の権利として集団的自衛権を有するが、憲法九条二項によってその行使は許されていないとしてきた。しかし、すでに憲法調査会では、集団的自衛権の行使を含め、憲法九条をめぐる論議に着手しており、平和と安全の維持のための議論を慎重な中にも冷静かつ着実に進めていく。
■ PKO本体業務への参加凍結見直し
軽武装により停戦地帯に中立の立場で介入するPKO活動については、これまでPKF本体業務以外の後方支援活動を中心に参加し、国際的な評価を得てきた。今後、本体業務の凍結解除、さらには内乱対応型PKO活動への関わり方、PKO多国間共同訓練への参加、PKO五原則の見直しなど、国際的要請に基づく活動に関し、検討を進めていく。
■ 緊急事態法制度の整備
有事の際、国家、国民の安全を確保するために必要な自衛隊の行動については、昭和五十二年、福田内閣の下で現行憲法の範囲内における研究が開始された。
  有事に必要と考えられる法制度のうち、第一分類(防衛庁所管)、第二分類(防衛庁以外の省庁所管)については研究が進められているが、法制化は課題として残されている。また、第三分類(所管省庁は明確でない)および在日米軍に係る有事法制については、今後の研究課題として残されている。これらについて、今後研究を進め、法制化への取り組みにも着手する。また、不審船、武装工作員等に対処するための領域警備に係る法制整備も進める。
■ 沖縄基地問題についての取り組み
日本に駐留する米軍のうち、沖縄には空軍と海兵隊三万人が配備されている。在留米兵によるたび重なる不祥事をきっかけに、沖縄県民の対米軍感情は厳しさを増し、米軍基地に対する県民の負担感が増大している。そうした沖縄県民の感情や負担の軽減には十分配慮し、有事の際の日米間の役割分担などとともに、普天間基地の移設、沖縄以外への米軍配備・集約についても日米双方で検討する。
■ 戦略的対話の推進
米国は、アジアの戦略的重要性を認め、とりわけ日米同盟関係を米国の安全保障戦略上の中核に位置付けている。
そうした中で昨年秋のアーミテージ・レポートにもみられるように、最近とくに日本に対し平等な同盟関係樹立に向けての戦略的対話を要請してきており、そうした動きはブッシュ新政権にも引き継がれている。
アジアの平和と安定について日米でどのように対応していくのか、議論を正面から受け止め、日米間で毎年開催されている「2プラス2」など各レベルの会議を活性化することにより、こうした方向の実現をめざす。
■ 国際的情報収集力の強化
国際的な情報収集能力を強化する必要がある。外務省と防衛庁の収集能力強化、役割分担、情報の交流など、トータルな情報力および分析力を高める。

・東アジア近隣諸国との対話促進

東アジア地域における各国の経済力、軍事力、人口などを比較すると、現在は米国が総合パワーとして圧倒的な立場にあるが、十年後、二十年後には中国が巨大なパワーを持つことになろう。中国が今後とも、民主化を進める中でゆっくりと安定した繁栄を遂げることができるか否かが、アジアの平和と安定にとって重要な鍵となろう。
中国に対しては、自由貿易体制の中で責任を有するプレーヤーとして、WTO加盟をはじめ自由市場経済への参加を求めていく。また重点分野を一層明確にしつつODAによる経済・環境協力を行い、民間の経済的・人的交流を一層促進する。
ロシアに対しては、北方領土問題の解決に取り組むとともに、政治・経済等の分野における幅広い協力を進める。
朝鮮半島の安定のため、日本は韓国、米国との緊密な連携の下、中国、ロシアとの協力関係を構築する。
・繁栄維持のためのマルチとバイの連携を強化
戦後半世紀に亘り、日本の繁栄の基礎を提供した多角的貿易体制を今後も維持強化するとともに、二国間の自由貿易関係づくりを進める。また多国間の経済枠組みを利用することで、信頼醸成の促進や予防外交へのプロセス形成に努め、さらにはアジア地域総合安全保障機構の創設に向けて努力する。
■ WTOの新ラウンド立ち上げを推進する。
■ ASEANを中心としたアジア地域経済の統合を進める。
■ 日本・シンガポール自由貿易協定を推進する。
■ インドなど南アジア諸国との連携を強化する。
・新たな脅威に対する危機管理体制の整備
大規模災害等から国民の生命・財産を守るため、警察、自衛隊、地方自治体等が即座に対応できる仕組みをつくる。また、最新の情報通信技術等を利用したサイバーテロや、社会インフラの破壊を狙ったゲリラ・特殊部隊による攻撃などに対しては、断固とした治安維持と防衛体制で臨む。
■ 大災害時における自衛隊と警察の連携を強化する。
■ サイバーテロなど破壊行動に対し、断固排除を宣言する。
■ 危機管理に関する指揮命令系統の充実・強化を図る。
・燃料電池を基軸技術とした天然ガス、水素利用社会の実現
次世代のエネルギー・ユニットとみなされる燃料電池、次世代エネルギーの主役とみなされる天然ガス・水素を戦略的に導入する。
■ 燃料電池、マイクロガスタービン等の新技術を用いた小型分散型電源の導入
■ コ・ジェネレーション(熱電併給システム)の普及促進によるエネルギー利用効率の向上
■ 燃料電池自動車の開発促進によるZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)の導入
■ 天然ガス・水素パイプラインの整備
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