旧式(レガシー)システム改革指針
自由民主党 政務調査会 e-Japan重点計画特命委員会
平成15年3月25日
e-Japan重点計画特命委員会
e-Japan重点計画特命委員会では、昨年秋、各省庁に協力いただき、旧式(レガシー)システム(以下、「レガシーシステム」という)に関する調査を行い、年間10億円以上の経費を要する中央省庁の情報システムのうち、件数ベースで約半数、予算ベースで約8割がレガシーシステムであることがわかった。

レガシーシステムに係る問題は、業務の継続性を重視し過ぎるあまり、巨大なシステムが長年にわたり非競争環境に置かれてきたこと、また、その支出の大半がシステムの維持運営に費やされ、効率性に関する十分な検証がなきまま、拡充されてきたことにある。その結果、システム予算が戦略的IT投資に回らず、現場における技術革新や業務改革にも支障をきたすところに問題の本質がある。

各省庁の情報システムについては、その導入当時に最先端の技術を活用して構築されたものが多いが、情報技術の進歩はめざましく、新たな技術の採用によって、より費用対効果の高い情報システムを再構築することが可能となっている。特に、長年にわたって随意契約によりシステムの改良、保守を繰り返しているような旧式のシステムについては、新たなシステムを構築することによって、システムの費用対効果は格段に改善される。

このため、各省庁は本指針に沿って、早急に情報システムの見直しに着手されたい。但し、見直しに当たっては、費用削減の視点に加えて、セキュリティーの確保、信頼性維持、わが国ソフト産業の育成といった視点に複合的、戦略的な配慮をすること。

1.基本方針
各省庁のレガシーシステムを新たなシステムに刷新した場合に、使用者(各省庁)及び利用者(国民等)の利便性を下げずにトータルコスト(初期コスト+ランニングコスト×耐用年数)を下げることができるならば、レガシーシステムを刷新すること。
2.配慮事項
レガシーシステムの刷新に際しては、以下に配慮すること。
(1) 外部専門家の活用
  レガシーシステムを保有する省庁は、当該システムと関係のない外部専門家に依頼し、レガシーシステムを新たなシステムに刷新した場合に利便性を下げずにトータルコストを下げることができるか否かを検討すること。

検討の結果は必ず公表するとともに、刷新が望ましいという結論が出た場合には、財務省に対して所要の予算要求を行うこと。

(2) システム刷新に要する予算の査定
  レガシーシステムを刷新する場合、初年度は通常よりも多くの予算を要する可能性が高い。しかしながら、翌年度以降の予算を総合的に考えるとトータルの予算節約が可能である。

このような事情から、レガシーシステムの刷新に関し、IT戦略本部のもとで作成する全体的戦略やガイドライン等に基づき、各省庁は複数年度にわたる予算計画を作成すること。これに基づき、財務省は後年度の予算も含めて複数年度の予算を査定すること。

また、財務省は今後の財源の緊縮を鑑み、成功報酬型契約等、行政サービスにおける民間の経営資源活用について会計制度面(調達及び契約)からの検討を行い、早期実現を目指すこと。

なお、全ての省庁が同時期にレガシーシステムの刷新を希望すると、予算がシーリング枠内に入らないおそれがあるため、財務省は各省庁のレガシー刷新の時期が重ならないように調整すること。

同様のことは一つの省庁内においても生じる。すなわち、一つの省庁内の全部局のレガシー刷新を同時期に行うことは予算制約上無理がある。各省庁においては、部局間の優先順位を決めて、順繰りにレガシー刷新を行うこと。

(3) 調達の合理化
 

各省庁は、CIO補佐官の意見に基づき、合理的な調達を行うこと。

すなわち、単に独自開発のソフトウェアを汎用パッケージソフトウェアに変更する、メインフレームシステムをオープンシステムに変更する等、システムの最適化を行うだけでなく、省庁横断的な業務フローの共通化など、抜本的業務改革も併せて行うこと。また、価格透明性確保のため、ハードウェアとソフトウェア開発のバンドルを排除すること。

この結果、中央省庁のレガシーシステム関連予算の大幅な縮減を目指すこと。なお、新規及び保守案件については、費用対効果を事前・事後において評価を行い、この結果を 公表すること。

(4) 契約形態の見直し
  契約は原則競争入札によるべき。随意契約は極めて例外的に採用し、理由や適用基準を明確にし透明化を図ること。また、供給業者を制限する恐れのあるデータ通信役務サ ービス契約は極力排除し、品質低下や安値落札防止、ベンチャー企業の参入機会増の観点からも、国庫債務負担行為への早期転換を図ること。
(5) 外部監査の実施
  各省庁は、構築した情報システムの適正性に関して、第三者による監査を定期的に受け、結果を公表すること。
(6) 利用者への配慮
  一部の国民、利用者が接続することができないレガシーシステム(例.特定のソフトウェアの利用者しか接続できないシステム、緊急通報システム等)においては、直ちに改善す るための検討を開始すること。
(7) 各省庁による「レガシーシステム改革計画」の策定
 

各省庁は、各省庁が保有している以下の41のレガシーシステムを改革するため、電子政府構築計画(仮称)の期間内である平成17年度(2005年度)までに、政府全体の業務・システムの抜本的な見直しのために各レガシーシステムに係る最適化計画を策定することとし、そのための行動計画(アクション・プログラム)を本年6月までに作成し、公表すること。

1.為替貯金業務総合機械化システム(総務省)
2.社会保険オンラインシステム(厚生労働省)
3.登記情報システム(法務省)
4.国税総合管理(KSK)システム(財務省)
5.簡易保険業務総合システム(総務省)
6.特許事務システム(経済産業省)
7.総合的雇用情報システム等(厚生労働省)
8.年金相談に関するシステム(厚生労働省)
9.総合無線局監理システム(総務省)
10.基礎年金番号管理システム(厚生労働省)
11.雇用保険トータルシステム(厚生労働省)
12.労災行政情報管理システム(厚生労働省)
13.出入国管理システム(法務省)
14.郵政事業庁管理事務システム(総務省)
15.労働基準行政情報システム(厚生労働省)
16.通関情報処理システム(財務省)
17.自動車登録検査業務システム(国土交通省)
18.官庁会計事務データ通信システム(財務省)
19.労働保険適用徴収システム(厚生労働省)
20.年金給付の裁定及び支払等に関するシステム(厚生労働省)
21.全国的情報処理センター用システム(警察庁)
22.予算編成支援システム(財務省)
23.通関情報総合判定システム(財務省)
24.郵貯資金運用システム(総務省)
25.統合気象システム(防衛庁)
26.航空自衛隊補給3システム(防衛庁)
27.指紋業務用システム(警察庁)
28.食糧庁における情報管理システム(農林水産省)
29.郵便局共通事務システム(総務省)
30.年金給付システム(厚生労働省)
31.気象資料総合処理システム(国土交通省)
32.税関手続申請システム(財務省)
33.経済財政政策関係業務等に必要なシステム(内閣府)
34.運転管理者等のシステム(警察庁)
35.林野庁における改善分散処理システム(農林水産省)
36.財政融資資金の運用事務等システム(財務省)
37.通信機能強化システム(外務省)
38.本省情報基盤システム(文部科学省)
39.航空自衛隊データ処理近代化システム(防衛庁)
40.海幕給与、経理システム(防衛庁)
41.6陸幕補給システム(防衛庁)