「地上波ディジタル計画を見直せ アナログ放送終了期限の撤廃を」
衆議院議員 平井卓也
日経ニューメディアにインタビュー記事が掲載されました。

10年以上放送業界に身を置きながら、2001年の電波法の一部改正に賛成した反省から、総務省が進めている地上波放送のデジタル化計画の見直しを訴えている。デジタル化自体には反対しないが、国民の不利益が多すぎる現在の計画は、早急に見直す必要があるという。現行計画のどこが問題で、どのように見直すべきかなどを、平井代議士に聞いた。(聞き手は日経ニューメディア編集長、高田隆氏)

Q:総務省が進めるデジタル化計画のどこが問題か。
平井:

問題点を挙げ始めるときりがないが、整理すると「国民の認知度が低いまま進んでいる」、「国民へのメリットがほとんどない」、「見返りがない投資を放送局に強いている」ことなどだ。例えば民間調査会社が行ったアンケートによると、三大広域圏で2003年にデジタル地上波放送が始まるのを知っていると答えた人は18%、2011年にアナログ地上波放送が終了することを知っているのは11%にすぎないという。

また、アナログ放送が終了すると、デジタル放送を視聴できない「デジタル難視聴地域」が発生し、ユニバーサルサービスが維持できなくなる。さらに、デジタル化のメリットの一つに高画質化(ハイビジョン化)があるが、29型以上のテレビ受像機を購入しないと画質の差は分からず、国民の金銭的負担は大きい。しかも、アナログ放送とのサイマル放送が中心では、普及のキラーコンテンツがない。これでは放送局が巨額の投資をしても、発展のビジネスモデルが描けない。

Q:壁に当たっている「アナログ放送用周波数変更対策」についてはどう考えるか。
平井:

総務省が852億円と見積もった対策費の大半を「電波利用料」という国費で賄うために、2001年に電波法が一部改正された。その時に私も、与党議員として賛成した。しかし改正後に、「対策費が2000億円以上なる」と言われると話が違ってくる。

膨れ上がった対策費を削減するために、総務省とNHK、地上波民放事業者で組織する「全国地上デジタル放送推進協議会」は、電波の混雑地域に「STB(セットトップボックス)方式」を導入し、受像機を無料で配布することを検討している。しかし、STB方式は公平性の面で問題があるし、本当に削減効果があるのか。しかも、対策費の削減を優先するあまり最近になって、一部の地域でアナログ放送の画質が劣化するのはやむを得ないと言い始めた。一時的でも、画質の劣化は許されない。

Q:今後のデジタル計画はどう進めるべきか。
平井:

総務省に対しては、「勇気ある現状維持」を望みたい。現在のデジタル化計画を凍結すべきだ。具体的には、2011年というアナログ放送の終了期限を撤廃し、2003年からの三大広域圏のデジタル放送は地域限定の試験サービスにとどめる。ほかの地域では、可能な事業者が可能な範囲で行うことにする。

試験サービスを提供しながら改めて、国民にとってのデジタル化のメリットを検討し、デジタル化計画を作り直せばよい。計画を見直す際には「帯域免許制度」の導入や、「マスメディア集中排除原則」の緩和などの対策を盛り込み、放送事業者の事業展開の自由度をあらゆる面から高める必要がある。

 『日経ニューメディア2002年5月20日号「スポットライト」からの抜粋』